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知らないと怖い:無意識に自分を守ろうとする機能




ヒトは日頃から生活する上で、自分の欲求や葛藤を少なからず調節して生きています。欲求が満たされず葛藤することを、意識的にうまく調整している場合はヘルシーですが、欲求や葛藤をないものとしたり、特定の方法で無意識下に置く傾向が強く、自分が我慢をしているという認識がない場合、メンタルヘルスに支障が出る場合もあります。また、この自分を守るための機能が偏っていたり未熟である場合、人間関係を破壊したり、社会生活に破綻をきたしたりという問題が出てきます。周囲の人を巻き込み、本人にとっても不利益を招くことに…







精神分析的なお話で少しディープではありますが、この自分を守るために使われる心理メカニズムは「防衛機制」と呼ばれています。心理学では基本的なことです。防衛機制は、「原始的な防衛」「神経症的な防衛」「成熟した防衛」の3階層に分けられます。



防衛機制という心理メカニズム


まずは原始的な防衛機制、つまり「未熟な防衛機制」を例を挙げてご紹介します。


▶︎否認:受け入れがたい出来事に直面することをさけ、感覚データから無視し、出来事の一部、あるいは全てを拒止し、存在しなかったことにしてしまう

▶︎理想化:新興宗教の教祖を根拠なく崇めてしまうなど、対象となる他者に対して実際以上の価値や資質を有すると認識してしまう

▶︎脱価値化:自分の欲求に応じてくれない人物に対して、吟味せず、即、価値が全くないものとして極端に過小評価する

▶︎分割:理想化と脱価値化のように、同じ人物に対してまったく違う二人の人間のように扱い、良い面と悪い面を無意識的に区画化してしまう。さらにその矛盾による自分の葛藤を無意識下へ押しやる

▶︎投影:受け入れがたい自己の内なる欲求や衝動を、自分ではなく、他者の中にあるとしてしまう。例えば先生が嫌いだけれど、先生が自分を嫌っている、と感じるなど

▶︎投影同一視:投影の標的となった人物は、投影されたものに沿って行動し考え感じ始める。つまり、投影により「先生が自分を嫌っている」と考える生徒に対し、先生がその考えに沿った行動を取り始めてしまう

▶︎解離:受け入れることが困難な現実やトラウマから自分を守るために自我と出来事を切り離してしまう。自分が心理的なコントロールを失っていることに直面できず、知覚・意識、自己同一性などの連続性の感覚をバラバラにしてしまうので、記憶が曖昧だったり、改変されてしまう。

▶︎行動化:社会的に受け入れられない欲望を、吟味せずに行動に移してしまい、結果的に犯罪行為や自傷行為という問題行動として表出させてしまう。

▶︎退行:赤ちゃん返りのようなもので、葛藤や緊張を避けるべく機能する

▶︎スキゾイド空想:対人状況への不安を避けようとするあまり、個人的な内的世界へ退避してしまう



自分を騙してまで自分を守ろうとすると、アンヘルシー(不健全)な状態に陥ってしまいます


このように、社会的にはあまり良くないとされている欲求や願望など、自分自身がそれを持っていることに気づきたくない・直面したくない・受け入れられないということで、ヒトはこれらの防衛機能を駆使して、身体のサインや感情や思考を、無意識下に葬り、自分すら騙してしまうことがあるのです。知らず知らずのうちに、そんなことをしていたら、ちょっと怖いですよね。



気づきの大切さ、実感します


このような防衛機制の例を見つめると、さまざまな身体感覚・情動・思考など、自身への「気づき」の大切さを実感しませんか? 意識的な「自己認識」が、ここでも重要であることが理解できます。

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